まあ、恥ずかしいが、書きかけの小説をば。
とっさにシーンが思いついたから勢いで書いた。




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その夜、俺は深夜にも関わらず散歩と洒落込んでいた。
家から結構な距離の居酒屋で飲んだ後、酔いを醒ます意味も兼ねて夜風に当たりたかったのだ。
別に他意は無い。気が付けば終電を逃していたわけでもない。
気前良く飲み食いして、電車に乗る金が無かっただけだ。
実際、独り暮らしでは帰りを待つ人もおらず、家に帰っても暇なだけなのだから急ぐ必要は無い。
そういうわけで友人達の申し出を断り独り、夜の街を歩いていた。
もう春とは言え流石に夜風は肌寒く、しかしアルコールが入って熱を持った体にはかえって丁度良い。
着てきたジャケットを半分に折って腕に掛けながら、遅いくらいの足取りで帰路を探していた。
いや、道に迷っているわけではない。家の方向はキチンと分かっている。
ただ、線路沿いに歩いていたら高速と神社のような森に囲まれたL字路に差し掛かり、それが家の方向とは別なだけだ。
道路を見ると、神社を迂回するように先が曲がって見えなくなっていた。
その道の先を見ていると何か無性に腹が立ってきて、そのまま直進することにした。
高速に入る手前の道路なだけに片道三車線の計六車線と無駄に広く、しかし時間が時間なだけに車一台、人っ子一人、猫一匹も通らない。
山手線が囲む中心の様な場所にこんな所が有ったのは意外だったが、それにしても今は邪魔以外の何モノでもない。
道路を渡りきり、神社(?)の柵を跨ぎ森の中に足を踏み入れる。
酔った勢いからか、立ち入り禁止の森を突っ切る背徳感からか中学生の頃に戻ったような昂揚感に包まれつつ、都会の中で一際に違和感を放つ暗闇の中に進み入る。
すぐに後悔した。
想像していたより、と言っても何も考えていなかったのだが、街の光は木々に阻まれ先は見えなくなり、アスファルトの硬質な感触と違って土の柔らかい感触は靴の上からでも湿り気を感じさせ、何より普通に歩くだけでも疲労が溜まる。
木からか土からか、樹液のような甘ったるい匂いと枯葉落葉の匂いが森一杯に立ち込めていて鼻腔を必要以上に嘗め回し、咽るような。
道路を走る車の音や、遠くで鳴るサイレンの音も木々に阻まれ静まり返り、耳鳴りが甲高く反響している中で自分の足音だけが聞こえる。
慣れ始めた眼が月明かりを捕らえ、暗闇で何も見えなかった木々が徐々に輪郭を帯びてゆく。
木々の間を手探りで縫うように歩きながら、本当は月明かりなどではなく街から放たれた蛍光灯の光なんだろうなぁとも思ったが、今は月明かりと言われても其れで素直に納得してしまう様な雰囲気がある。

ふと気が付くと、地面に傾斜がついて登る形になっていた。
このまま登っていけば社殿があるのだろうから、開けた場所に出るだろう。
そこからは境内なりキチンとした道があるはずだ。
しかし同時に、「このまま森から出られないのではないか?終わりが無いのではないか?」という考えも浮かんできて、真綿で首を絞められる様な奇妙な圧迫感が全身にのしかかっている。


黙々と足を動かす。既に酔いは醒めかけていて、徐々に頭痛が襲い始めていることを忌々しく感じながらも、ふと、足元から視線を上げると突然森から瓦屋根が生えていて、その奥に見慣れた空。暗く薄紫に照らされた、ネオンが反射した空が広がっていた。
予想が当たったことに安堵しつつ、早足で駆け上る。
が、一向に近づく気配が無い。先ほどから少しづつ見える角度が変わってはいる気がするが、それでも変である。
と、重く痺れていた足が縺れ勢いよく地面に転がり込んだ。

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